俺は奏葉を俺の部屋に閉じ込めると、拓馬や茉那がいる部屋に戻った。
部屋に入ると、そこにいる全員が俺の方を一斉に見上げた。
「奏葉は?」
不安そうな目をした茉那が俺に問う。
「あぁ、冷静になるまで出てくるなって言って、俺の部屋に置いてきた」
「そっか」
さっきまで奏葉が座っていた学習机の椅子の傍には、切り落とされた髪の毛の束が無数に散らばっている。
俺は学習机の前にしゃがむと、散らばった毛の束を拾い集めた。
「俺達、今日はもう帰ろうか?な、茉那」
背後で拓馬が立ち上がる気配がした。
「うん……」
「あ、じゃぁあたし玄関まで送りますね!」
拓馬につられて、茉那と春陽が立ち上がる。
「じゃぁ、真宏、またね」
振り返ると、茉那が笑って手を振った。
それに答えるように笑って、俺も軽く手を振る。
「また遊びに来てくださいね」
部屋から出た春陽が、明るく取り繕うように茉那や拓馬にそう言っているのが聞こえた。