「何でかな……」
「え?」
ふと零れ落ちてしまった私の言葉を聞き、真宏が眉根を寄せる。
ママが死んで二年しか経っていないのに、ママからパパを奪ったあの女が許せないから。
私の母親はママだけだから。
言い訳めいた理由なら、いくらでも頭に思い浮かぶ。
だけど―――
「おかしくたっていい」
私は真宏を見上げ、吐き捨てるように言った。
可笑しくたっていいんだ。
ママのことを忘れないためなら――……
「は!?とりあえず、冷静になるまでここから出るな!」
真宏はそう言うと、乱暴にドアを閉めて出て行った。
「……!」
私はベッドに俯けに突っ伏すと、握り締めた手をベッドの布団に打ち付けた。
何度も、何度も。
気付くと、両目から涙が零れていた。