「関係ないでしょ」

真宏を突き放すようにつぶやく。


さすがにもう、髪の毛を切り続けた私の衝動は治まっていた。

だけど私は自分の中にある意地だけで、真宏を拒絶し続けた。

真宏は、私の手首をつかんだまま離さない。

私の手首をつかむ真宏の腕には、大きな紫の痣ができていた。


私が強く殴ったせい……?

ほんの少し罪悪感を感じて、そこから視線を反らす。

私は床に視線を落とすと、それを睨みつけながら堅く唇を横に引き結んだ。


「なぁ、そわ」

真宏が床を睨み続けている私に呼びかける。


「そわ」

真宏は私の肩を揺すると、床から顔を上げさせた。

顔を上げた私の目を、真宏の目が真っ直ぐに見つめる。

その目があまりに真剣で反らすことができなかった。

真宏が私の目を見つめたまま静かに口を開く。


「そわ。お前おかしいよ。何でそこまでするんだ?何でそこまでカオルさんを憎むんだよ?」


何で――……?

私はそう言って真剣な目で見つめてくる真宏をじっと見つめ返した。