「こいつ、ちょっと向こうに連れて行くわ」

真宏は床に座り込んだまま呆然としている茉那達にそう言うと、私を抱きかかえて部屋を出た。


「ちょっと、おろしてってば!」

「黙れ」

足をじたばたと動かして暴れる私に、真宏が冷たい視線を向ける。


真宏は自分の部屋のドアを足で押し開けて中に入ると、私の体をベッドの上に投げ落とした。


「痛っ……」

背中に衝撃が走り、ベッドの上で体が弾む。

私は体制を立て直すと、体を起こして立ち上がろうとした。


「何する気?」
               
立ち上がろうとした私の両手首を真宏がつかむ。

顔を上げると、真宏の厳しく冷たい目が私をじっと見下ろしていた。


「あんたには関係ない」

私は真宏から目を反らすと、真宏の手を振りほどこうと激しく腕を揺すった。


「まだ髪を切るつもり?」

真宏は私の手首をつかむ手に力を入れて、振りほどこうと激しく揺する腕を押さえつけた。