私は握り締めた鋏を首の横に翳した。
鋏の先が、髪の毛に触れる。
湧き上がる怒りのままに、私はその先に触れた髪の毛を一気に切り落とした。
「そわ!」
ばさりと音をたてて床に落ちる髪の毛の束と真宏の叫び声。
そして、他の三人の息を飲む音。
私は目の前で驚いたまま動けずにいる彼らに、にやりと笑ってみせた。
「こんなものいらない。あの女の髪が長いなら、私はいらない」
私はそう言うと、鋏の先が触れるままにめちゃくちゃに髪の毛を切り続けた。
お気に入りだったママゆずりのふわりとしたくせのある髪は、次々と床の上に落ちてただのゴミくずになる。
落ちていく髪の毛を見つめながら、私は口角を上げて静かに微笑み続けた。