「あと、髪の長さをどれくらいに切るかも今悩み中なんです。あんまり切ったら、せっかく伸ばしたのにもったいないし」
「確かに、春陽ちゃん髪長いもんね」
春陽の髪の長さは今、肩を通り越して肩甲骨に届くくらいはある。
そのまま彼らの話に耳を傾けていると、春陽が真宏に猫なで声で話しかけた。
「ねぇ、まぁ君は長い髪と短い髪とどっちが好き?」
「え、俺?」
突然話を振られ、真宏が声を詰まらせる。
「そりゃ、長い髪だろ。な、真宏!」
真宏がはっきりと答える前に、拓馬が言った。
「やっぱり男の人は長い髪が好きなのかなぁ?」
春陽が独り言みたいにつぶやくと、拓馬が小さく声を立てて笑う。
「いや、真宏は特に長い髪が好きなんだよ」
「拓馬!」
怒りを含んだように聞こえる真宏の声。
「え?何でですか?」
「気になる!」
そして、理由を詮索するやや興奮気味の茉那と春陽の声が続く。