「でも、春陽ちゃんならパーマも似合うかもね」
「そうですかね?」
茉那に褒められて、春陽が照れるように少し笑っている。
「あたしはパパに似てストレートなんですよ。お姉ちゃんはパーマかけてないけど、パーマかけてるみたいに綺麗にふわっとしてるでしょ?」
「そう言われればそうだよね?奏葉ってパーマかけてるわけじゃないんだ?」
床が擦れる音がして、茉那が私を振り返る気配がした。
「そうなんですよ。お姉ちゃんのくせ毛は死んだママゆずり。あたしもそこはママに似たかったんですけどね」
春陽が羨ましそうな声で言う。
それを聞いた私は少し誇らしかった。
私のセミロングに伸ばした髪は、ママゆずりのふんわりとしたくせがある。
ママとの共通点である髪は私の自慢だった。
私は少し気分が良くなって、背後で騒ぐ彼らのことにさっきまでほど腹が立たなくなった。