「ねぇねぇ茉那さん。この髪型可愛いと思いませんか?」
私が参考書を読んでいると、後ろで雑誌のページが捲れる音がした。
「どれ?」
「これです」
「あ、かわいい!」
「あたし、今度美容院行こうと思ってるんですけど、ただ髪を切るだけにするか、パーマかけるか迷ってるんです」
背後の騒音で勉強に集中できていなかった私は、何となく参考書の文字を目で追いながら聞こえてくる春陽と茉那の会話に耳を傾けた。
「パーマかけるの?春陽ちゃんの髪、すごく綺麗なストレートなのに。もったいなくない?」
「そうですかね?でも、あたしは茉那さんみたいな長くてふんわりした髪の毛に憧れます」
「あぁ、あたしはもともとくせ毛なんだけど、まとまらないからゆるくパーマかけてるの」
「へぇ、そうなんですか」