ある程度親しくなると、茉那はとても素直で優しい子だとわかった。

そして茉那は親しくなった人間には、自分のことをよく話す。

人の顔色を伺うような上目遣いではなく、ちゃんと相手のほうを見て。

自然な声のトーンで。


毎日屈託のない笑顔で私に話しかけてくれる茉那に、私は好感を持つようになっていた。


だから話そうなんて思っていなかったのに、自然の流れで、私は茉那に私のうちの“家庭の事情”をほんの少し話した。


私の話を聞いた茉那は悲しそうな顔をして、私を応援すると言ってくれた。

でも、素直な茉那の口からは時々私の神経を逆撫でするような言葉が出る。

悪気がないことはよく分かっているが、その度に私は茉那に話したことを後悔する。