家の玄関を開けると、そこに並ぶ靴の数がいつもより多かった。
   
そういえば、茉那と拓馬が遊びに来る予定だったっけ。

私はこちらを向いた複数の靴のつま先を見てそのことを思い出した。

靴を脱ぐと、そのまま真っ直ぐに二階の自分の部屋へと上がる。

階段の中ほどまで上がったとき、上からにぎやかな笑い声が聞こえた。
     
その中に、春陽の笑い声も混ざっているのがわかる。

遊びに来た茉那や拓馬の中に、春陽も加わっているらしい。

私はそのまま階段を上がると、小さく息をつきながら自分の部屋のドアを開けた。

自分の部屋でちょっと休もう。


「きゃははは……」

そう思っていたのに、ドアを開けた瞬間聞こえてきたのは春陽ばか笑い。

見ると、私の部屋は春陽を含め、真宏、茉那、拓馬の四人に占拠されていた。

彼らの真ん中にはジュースとお菓子が置かれ、すっかりくつろいでいる様子だ。