「委員長?」
 
「茉那達のクラスの委員長って誰だっけ?」

俺と拓馬がほぼ同時に茉那に尋ねる。

 
「蒔田くんだよ」

「蒔田って、蒔田 光輝?」

「そうそう」

「俺知ってる。学年でも頭いいって評判だよな」

拓馬はそう言ったけど、俺にはあまりピンとこなかった。


「へぇ」

「でも、何か親密な話してるっぽいよな」

拓馬が俺と茉那を見ながらにやりと笑う。


「そうか?」

俺は再び奏葉と蒔田の方に視線を向けた。

蒔田が話しながら奏葉に何か渡しているのが見える。

それは一冊の本のようだった。


「そういえば、今日の一時間目のあとの休み時間も奏葉と蒔田くん二人で喋ってた」

茉那が思い出したように言う。

茉那に視線を移そうとして、だけどそのとき一瞬だけ目の前で起こった出来事が俺の目を奏葉に釘付けにした。