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放課後、スクールバッグに荷物を入れていると、教室のドアから中を覗き見ている茉那の姿が見えた。
「茉那?そこで何してんの?」
俺が教室の中から尋ねると、茉那がどこかほっとしたような笑顔を見せる。
「入ってくれば?」
俺が手招きすると、茉那は遠慮がちに教室のドアを潜り抜けてとことこと俺の方にやって来た。
「どした?」
俺が茉那に尋ねていると、拓馬が近くに寄ってくる。
「今日、奏葉の家に行く約束してたでしょ?だけど奏葉が、真宏達と一緒に先に家に行っとけって」
茉那が困惑したように、俺と拓馬を交互に見比べる。
「そわ、何やってんの?」
「さぁ?」
俺が尋ねると、茉那は小さく首を横に振った。
「用事があるとか言って、HR終わった途端にどっか行っちゃったの」