「仲いいけど……あいつはそんなんじゃねぇよ」

俺がつい茉那に構ってしまうのは、どっちかっていうと親心で恋愛感情じゃない。

拓馬の相手をしているのがバカらしくなってきた俺は、椅子に座ると拓馬に背を向ける。

だけど、背後からはなんだか不満そうな拓馬の声が聞こえた。


「なんだよ。茉那、ふつうに可愛いじゃん」

「あー、だな」

確かに茉那は可愛いかもな。

あいつといつも一緒にいる誰かさんに比べたら特に。

そんなことを考えて、茉那とは別の人物の顔をふと思い描いていると、後ろから拓馬がしつこくつついてくる。


「そう思ってるってことは、茉那のことちょっとは気になってんの?」

「だからそんなんじゃないって。ていうか、拓馬。どうして茉那のことそんなしつこく――……」
「カオルさんでも茉那でもないなら、じゃぁ、奏葉ちゃんとか?」