「ふぅん。じゃぁ、今真宏には好きな女いんの?やっぱりカオルさん?」

「ばっ!」

突然カオルさんの名前を出されて、俺の顔がほとんど反射的に赤くなる。


「なんだ、真宏。お前まだカオルさんのこと諦めてないのかよ」

からかうように、にやりと笑う拓馬。

ムカついて、俺は思わず拓馬を拳で軽く殴った。


「ってぇ」

拓馬が俺を見上げ、わざとらしく殴られた頭を押さえる。
                       
「お前がバカなこと言うからだろ?カオルさんには祐吾さんがいるし、今はもう何とも思ってないよ」

「へぇー」

拓馬がにやけた顔で疑わしげに俺の顔を見てくる。


「んだよ」

「じゃぁ、今真宏には好きな女いないの?あ、茉那は?」


「は?何で茉那が出てくるんだよ?」

「だって真宏、中学のときからやたらと茉那に構ってんじゃん。実際、仲良いだろ?」