そんな私と茉那が親しくなったのは、高校一年生のときのある体育の授業がきっかけだった。
その日はバレーボールの授業で、体育教師がペアになってサーブやレシーブの練習をするように指示を出した。
普段であれば整列順で練習のペアを決める体育教師が何の気まぐれを起こしたのか「気の合うもの同士」ペアを組むように言ったのだ。
そこで当然のように余ってしまったのが私と茉那だった。
「あ、あの……月島さん。あたしとペア組んでもらってもいいかな?」
茉那が上目遣いに私を見ながら、おずおずと話しかけてくる。
そのときに私は気がついた。
茉那の声のトーンや態度が変わるのは、何も男子相手だけではないということに。
その体育の授業がきっかけで私と茉那はよく話をするようになり、私はそのまま茉那に懐かれた。
茉那は別にぶりっ子な訳ではない。
極度に人見知りで、慣れるまでは誰にでも緊張してしまう。
その結果、声のトーンや態度が変わってしまうだけだった。
人見知りの強さから、ぶりっ子だとクラスメイトの女子から非難されてもそのことをきっぱりと否定できなかったらしい。