「帰らないの?」 奏葉はブランコの側を離れて数歩歩くと、俺を振り返った。 「あぁ」 奏葉に促されて、慌てて彼女の背中を追いかける。 奏葉の制服のスカートのポケットから、スマホの角とそこからぶら下がるキーホルダーの星がはみ出していた。 奏葉が歩くたびにキーホルダーの星が揺れ、夜の闇の中で鈍く光る。 ママの星。 奏葉がそう呼んだキーホルダーの星は、暗い夜道の中でその小さく儚い光で輝き続けていた。