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「おはよう、奏葉!どうしたの?朝から不機嫌な顔して」
高校の正門を潜り抜けると、後ろから友人の都築 茉那(ツヅキ マナ)に思いきり肩を叩かれた。
「おはよう」
ただでさえ気が立っているのに、肩を思いきり叩かれた私はやや低い声で彼女を振り返る。
「そんな怖い顔しないでよ」
茉那が少し息を切らしながら笑う。
どうやら、私を見つけて走って追いかけてきたらしい。
「またケンカしてきたの?お母さん達と」
少しだけうちの事情を知っている茉那が眉を顰めて言った。
「お母さんじゃないって!」
「あ……ご、ごめん……」
さらに不機嫌になった私を見て、茉那が慌てて謝る。
隣で何とか空気を換えようと必死になっている茉那を横目で見ながら、私はため息をついた。