俺はポケットに手を突っ込むと、近くにある公園へと歩き出した。
以前カオルさんに頼まれて奏葉を捜しにでかけたとき、彼女がいた場所。
どうしてかわからないが、今も奏葉はそこにいるような気がした。
小さなその公園には、十分もかかることなくたどり着いた。
入り口から中を覗き込むと、いつかのように明るい街灯に照らされたブランコが見える。
そこには、細く頼りなげな影がぽつりと一つあった。
その影はあのときと同じように、空に何かを翳してそれをじっと見つめていた。
「それ、何?」
俺はゆっくりと近づくと、その影に声を掛けた。
ブランコの上から照らす灯りが、正面を向いた影の顔をぼんやりと照らす。
「あんたには関係ないでしょ」
灯りに照らされた奏葉が無表情のまま、突き放すように言った。
相変わらずの愛想のない奏葉の対応に苦笑する。