ドアを閉めるとき、こちらをじっと睨んでいる奏葉と目が合った。
「茉那さん、拓馬くん。遠慮なく座ってください」
部屋の主である奏葉を差し置いて、春陽がベッドの上からクッションを二つ床に引っ張りおろす。
そして、部屋の入り口で立ったままでいる茉那と拓馬に座るように勧めた。
「春陽。私の友達は茉那だけだって言ったよね?」
奏葉が茉那と拓馬にクッションを勧める春陽を見て、低い声で眉を顰める。
「そんな言い方しなくたっていいじゃない。せっかくまぁ君の友達も来てくれたんだから、みんなで仲良く話せばいいじゃん」
喧嘩腰の奏葉に、春陽が強い口調で言い返す。
また険悪な雰囲気になりそうだった。
「春陽ちゃん、俺、真宏の部屋行かせてもらうわ」
拓馬が頬を引きつらせて笑ったとき、奏葉の部屋のドアを叩かれる音がした。
「奏葉ちゃん。ジュース持ってきたわよ」
タイミングがいいのか悪いのか、カオルさんがジュースとお菓子を載せたお盆を持って奏葉の部屋に入ってくる。