中学一年生のとき、ママが死んだ。


それまでずっと入退院を繰り返していたママだから、治ってほしいと願う反面、いつもどこかで覚悟していた。


ママとの思い出はそれほど多くは残っていない。



でも、灰色の煙になって空へと昇っていくママを見つめながら、ママと居たたくさんのことを思った。


ママの体温の低い手を。優しい声を。


灰色の煙を見つめながらひとつひとつ思い返した。


パパも妹も、おじいちゃんもおばあちゃんも、それから親戚の人達も、若くして逝ってしまったママが不憫だと泣いていた。



でも私は泣かなかった。

葬儀に参列した親戚達の「冷たい子だ」と陰口が聞こえてきても、私は泣かなかった。