「今日は来てくれてありがとう」


 いつだったかのあたしたちと今度は逆のセリフに、悠斗はうっすらと寂しそうな笑顔を見せる。


「……茉菜はさあ、いつも先に来て俺のこと待っててくれたよな」


 ぽつりと言葉をこぼした悠斗。


 それになにも言えずに、ただ悠斗の顔を眺めていた。


「さいごくらい、俺が待ってたかったんだけど」


 間に合わなかったなと、悠斗はつぶやいた。


 その言葉の意味を、あたしは瞬時に理解した。


 悠斗はやっぱりわかってたんだな、って。


 今日があたしたちのさいごになるってことを。


 公園で話すか提案したけれど、長くはならないだろうからここでいいと悠斗は言う。