「まあ、つらいんじゃない。でも、私は松本くんの肩は持てないかな。だってこうなったのって、結局松本くんの落ち度だし。今度は彼が本当の意味で傷付く番なのよ」


 たしかにそうかもしれないけど。


 手厳しいこと言うなあ、ミヤコちゃんってば。


 その言葉に苦笑いしながら、ふたり並んで教室へ向かって歩き出す。


「でも、できるだけ傷つけたくなかったな」


「茉菜、恋愛においてそれは絶対無理なことよ」


「なに、ミヤコちゃん。わかったような口きいちゃって」


 あたしが乾いた笑いを漏らすと、ミヤコちゃんは少しだけ遠慮がちに呟いた。


「……だって、私、松本くんのこと少しだけいいなって思っちゃったんだもの」


「えええええっ!?」