言えないままこの気持ちをずっと抱えているだけで、ここからなにになるっていうんだろう。
いまは必ず会える時間があるからいいけど、この時間が永遠に続くっていう保障はどこにもないんだ。
そして契約変更の話をしたときに、あたしは茫然自失で聞き逃していたことがあった。
あとから改めて桐島さんの相談をお母さんにしたときに発覚したんだけど、年が明けて春になったら、必然と桐島さんとの関係は終わるってことを教えられた。
つまり、桐島さんが家庭教師をしてくれるのは、それまでだってことだ。
桐島さんは大学四年生で就活ももう終わっているから、来年からは桐島さんとの契約は解約で、別の家庭教師の人に引き継いでもらうことになっているらしい。
気付いたときには取り戻せなくなるくらい遠くに行っちゃうっていうのは、きっとこういうこと。
あたしは運よく気付けたからまだいいのかもしれない。
自分の気持ちを大事にできるのは自分だけなんだって、そう気付いたから。
あたしは、桐島さんに告白したい。
桐島さんの近くにいられる日がこれから先ずっと、続いていくように。