思わずテーブルに手をついて身を乗り出した瞬間、ガチャっとドアが音を立てて開く。
「お話の途中に抜けてごめんなさいね。それで申し訳ないんだけど、仕事早めに出なくちゃいけなくなっちゃったの」
言いながら入ってきたお母さんの登場で、出かかった言葉は行き場を失った。
そのまま座り直してお母さんの方を見る。
「急患?」
お母さんは看護師だ。本当は二十二時からの勤務だけど、人手が足りないとたまにこういう日もあるんだ。
「そうなの。桐島さん、今日はバタバタとごめんなさいね」
「お仕事大変ですね。もう少しで時間ですし、私もこれでお暇させていただきます」
そう言って桐島さんが席を立ったから、あたしとお母さんは桐島さんを見送りに一緒に席を立つ。