「有難う。こんなに美しい物を見せてくれて、感謝するよ」
「どういたしまして。こちらこそ、見せた甲斐がある」
 年相応に笑うショウさん。どんな時かはわからないけど素直に笑ってくれる事がある。
 その笑顔は一番気持ちよくて、いつも笑ってくれたらいいのに、とあの三日間で本気で思った。
 以前聞いた事がある質問を、もう一度してみたくなった。
「どうしていつもそうして笑わないの? 皮肉じゃなく素直に」
「む。その質問を、またするのか」
 困ったと考え込む。少しだけ妙だった。
 いやな事とか、聞かれたくない事はすぐにはぐらかすのに。
 こうして考え込む時は真剣に答えようとする時。
 まともな返答を期待していいのかな、と。
「美味しい物はたまに食べるからいい。故に、そうして見せる笑顔も時折さ」
「素直に恥ずかしいんだって言えばいいのに」
「失礼、今何て」
「恥ずかしがらなくてもいいんだよ、素直に表現しようよ」
「……そうしたのは、何年前だったかな」
 一瞬、暗い顔をした。けれど見間違いだったのか、オニギリ美味しいな、と言って食事を再開した。
 リンを起こして、三人で車の上の食事を始めた。
 天気はよくてピクニック気分、景色もいいしご飯も美味しい。言う事はないほど充実した食事だった。
 他に車は一台もなく、この先へ続く山と丘。遥か上に戦艦が着陸していた。周辺から下にかけてテントが張られている。それが対抗組織の人たちなのか、それとも難民か。
 どちらにしろ、あと一時間も掛からない。
 目的地まであと少し、のどかな食事を堪能しよう。