「ここからは裏の情報屋から聞き出したんだが、なんでもそこにはステイ零四からの避難民が多く集まっているらしい。理由はまず、機密保持」
「……ステイ零四が消滅したと、市内に広めないため?」
「それも意味がないがな。流れ着いたシェルターポッド以外、正式に軍に確保された難民はほぼそちらにいるようだ。場所は遠いし、難民の数は多いと聞く」
「たくさん、あたしたちみたいな、人がいるの?」
「ああ、そうだ。もしかしたら、リンの友達もいるかもしれない。母親も」
 確実に会えるとは言わなかった。淡い希望を抱かせ、裏切れば余計に傷つける。
 だからショウは自分の発言に責任を持つ。
 会えるかもしれない、そのために尽力する。

 時計の針が一周するほど、場を静寂が支配した。
 誰も一言も発せず、誰もが次の言葉を待つ。
 無機質な時計の音が響く。不意に、レナが口を開いた。
 その場所まで、どれくらい掛かる、と。
 それに車で行けば早朝に出て、昼に着く計算だと答えた。
 その言葉に顔を見合わせるレナとリン、どうやら思いは一つらしく。
 明るくもなく暗くもない表情で、うん、と頷いた。
「そこに行こう。可能性があるなら、一生懸命に行かなきゃ」
「あたしも、お母さんや友だちに、会いたい」
「それでは決まりだ。明朝六時、ここを出よう」