ＥＸＣＡＳ

「む、美味い」
「なんだか失礼な発言」
「そうだよ、おにいちゃん。レナおねえちゃんの料理、美味しいんだよ」
「それは失礼。しかし、そう言うとリンは何度か食べた事があるのか」
「おにいちゃんがいない時のお昼とか、おねえちゃんが作ってくれるの」
「夕食は材料費の問題で冷凍食品だったけど、たまにはいいかなと」
「この味なら毎日作ってほしいもんだ」
「女の子にとっての褒め言葉だね。それともプロポーズ？」
「どう取ってくれても構わない。美味い事に変わりないからな」
「からかいがいがないなあ」
「皮肉やからかう事は俺の専売特許だ」
　楽しそうに笑うショウ。
　雰囲気に釣られ笑うリン。
　TYPE00ことレナも同じく、その雰囲気を楽しんで慎ましく笑った。
　レナは、ショウがつけた名前。それでは呼び難いから00の部分だけでレナと。以来形式番号のような名ではなくレナと呼んでいた。
　この三日間、朝と夜を除き彼は町へ。レナとリンはこの家で彼の帰りを待っていた。それだけを見れば、この三人は本当の家族のよう。雰囲気でさえ、歳が離れている事もあってよりそれに拍車を掛けていた。
　この、不幸な出会いさえ除けば、
　なんと幸せそうな家族だろうか。