剣が交叉して、銃弾は弾き返し光弾は盾で防ぐ。
 腕や足といった部分的なパーツを捥ぐ事はしない、出来ない。
 拮抗しすぎた実力を前に、装甲が悲鳴をあげて捲れていくだけ。

「亮太、それから抜けられるヤツは先に行け! こいつは俺が引き受けた」

『隊長、でも!』

「作戦に中止はない、立ち止まる事も許されない。行けるやつから、とっとと行け!」

『そこ。隙あり、です』

 一瞬の隙、一瞬の遅れ。
 それで、ビームシールドを内蔵した左の腕が切り砕かれる。
 もう、亮太は二の句を告げようとはしなかった。ただ目前の敵をあっさりと切り下し、出来た隙間から奥へと進んでいく。外何機かも、各々が担当する機体を討ち取って先へと歩を進めた。
 瞬く間、というほどではない。
 数合打ち合わせた頃には、もはや残っているのはゼムとACEだけだった。

「さて、これで……心置きなく戦えるわけだが」

『そうですね。まだ、しておかなければならない事があります』

 構えを変える。片手のゼムは、実剣を捨ててビーム式のサーベルを取る。二つの柄を逆さまにあわせて、即興の双剣を作り上げた。
 対するACEは二刀流。銃を捨て、実剣とビーム式サーベルの逆手二刀。姿勢もやや前傾、ただ早さに任せた超スピード重視。

「ゼム・リード」

『ACE』

 互いの名前を曝け出し、それを刻み付ける。

『「参る」』