――黒竜王が空けた大穴の先は、銀の光に満ちたトンネルだった。
 もともと搭載機が発進させるためのカタパルトの途中だったのか、幾度も曲線を描いた先には無人の機体がいくつも待機状態にあった。
 無論、放ってはおけない。幾名かを残し、そこの破壊任務が始まった。
 道はそこで終わりではない。奇妙な事に、その先にも同じような道が続いていた。予想ではあろうが、潜行した部隊は誰もが思う。
 ここもまたカタパルトへ続いている。
 中心から枝葉のように広がって、その先々に同様の施設がいくつも置いてあるのだと。ならば当然、

『隊長、前方から熱源』

「早速お出ましか。各機、散開しろ。この狭さだと、一網打尽にされるぞ」

 エンカウントした。だが、どうしてここまで戦力が残っているのだろうか。EXCASにしろOSにしろ、まだ内部に戦力を残しているのだとしたら。

『安心していいですよ。内部に潜伏した戦力は、もう限られていますから』

「……親切な敵もいたものだ。お前、EXCASだろう。軍用のはずが、どうしてそんな事を口にする」

『別に構わないのでは? 咎める上官はもう亡く、ここの頭たちは死に絶え、頭脳の前には貴公らの魔術師が対面している。この戦争、終結と結果は目に見えているでしょう』

「ならばどうして敵対する。投降させもせず、命を無駄に散らせるのだ」

『? ああ。そうですか、貴方たちは知らないので。彼らも、流石に教えると堪えるのだと見たのか』

「何の話だ」

『外にいるのは無人機です。ここにいるのも、中に人はいません』

「何を言っているんだ、そんなはずがないだろう。EXCASの反応がなく、それがEXCASだとでもいうのか」

『ですから、これはEXCASではありません。ただ、中に人がいないだけです』

『お前、何を言っているんだよ。人がいなくて、どうして機体を動かせるっていうんだ』

『……ああ。そういう、事なんだ』

『藤咲?』

『そちらのお嬢さんは賢いようで。では、お教えします』

 EXCASはそう言って、手近な機体のコクピットを抉じ開けた。
 途端、それから力が抜け落ちてガラクタになった。形容しがたい系統色の液体が流れ出し、開いたコクピットには。