右に旋回、急上昇から急降下。狙いをつけない機銃はバレルロールによってばら撒かれ多くの被害を叩き出すだが、既にエネルギーは切れた。
 充填を待ってはすぐに使い切ってしまい、まったく攻め込めやしない。
 変形時にいくつかのパーツをパージしたため大きさは一回り小さくなっている、実弾武装はミサイルのみで使い果たしている。武装は充填式の機銃のみしか残っていない。
 人型には出来ない奇抜な動きと機動性。それを生かすしか無傷ではいられない。もっとも一撃受けただけで大破は避けられない、装甲の薄さはこの機動性に比例する。掠れば大破、直撃で即死。その上、私が最後の砦(?)だというのだから責任重大だ。

「しかし、これはまるで。ゲームの中に、いるみたいだな」

 もちろんやった事はない。ヴァイフェが苦戦している姿を、後ろから見ていた事はある。常識で考えておかしいだろうと思った、たった一機で何百と落としていく。確実に落とされたと思った次の瞬間には、再び戦場で立ち向かっている。非常識極まりない、戦場に立つ者なら誰でもそう思うはず。
 だが、少しだけ見習ってほしい事がある。
 弾は無限であってほしい。
 そんな事を考えている間に、いつの間にかまた囲まれてしまった。
 今度は今までよりも数が多い。減らしたという実感がわかない、一体どこからこんなに現れてくるのやら。
 それさえも余計な思考と断線し、機銃のメーターはレッドゾーンのまま。また逃げ出すしかないのか。