お前、俺の気持ちを汲んだつもりか? だとしたら、はっきり言って余計だぞ。
 そんなつもりはありませんよ。冷静に判断して、あれが邪魔だと思っただけです。彼は、きっかけでしかありません。無論、貴方同様に怒りがないわけではありませんが。そうですね、九割九分九厘ほど。
 ほとんど怒りで出来ているじゃないか。それで、冷静な対応を出来なくなったら自業自得だぞ。
 心得ています。言ったでしょう、貴方同様だと。だから、冷静に己が立場を理解しています。ここに集った勇士たちを、皆殺しになんてさせません。
 そうか、では。一言だけ言わせてくれないか。隊長などという肩書きではなく。お前の戦友として。
 伺いましょう。私もいいたい事がある。副隊長という部下ではなく、共に戦ってきたパートナーとして。

「「有難う。お前と過ごして来た時は、楽しかった」」

 回線が切れた。それが、今生の別れを示す言葉。二度と交わる事ない、言葉。奇しくも、同じ事を考えた。パートナーや戦友などという言葉ではなく、これまで築いてきた信頼という言葉から。
 次に来世で出会えたなら、また背中を預けていたい。
 これほどの相棒には、きっと二度と出会えないだろうから。
 誰もが理解したくない。誰もが知らずわかっている。
 この戦いに生き残れない事を、自分が演じる役がどこで終わるのかを。それを知ってなお、楽しそうに踊る事を選んだ。
 きっと、これはただそれだけの事。
 だが嫌ではない、役だからというわけではなく諦めでもなく。ただ誇っている。
 生きる意味、此処にいる意味、それを漠然と掴めた気がするのだから。
 だから、また今度。
 来世では、それをはやく見つけたい。
 みんな、そう考えている。