隊長の背中に付き従った。前に出た。弔いではなく、恨みではなく、ただ悲しい。こんな悲しみを増やしたくないから、それが理由で亮太は最前線にいる。
 決して、その死に動じていないわけではなかった。鬼気迫る表情で、唇から血がだくだくと流れて。体調という肩書きが、これほど恨めしいと思った事はない。戦友を、部下を亡くす事は初めてではない。ただ、幼馴染という関係を失うのは初めてだっただけの事。だから、どうしても仇を討ってやりたくて。

『高機動部隊に告げます。全機、敵『神殺し』完全攻略に向かいます。我に続け!』

「ダージュ、なんのつもりだ!?」

『このままでは狙い撃ちにされます。特攻を守る母艦さえ落とされては全滅は必死。行ってすぐに帰ってこれるよう、私が率いて向かいます』

「……わかった。艦長に掛け合う必要はない、俺が責任を持とう。行け!」

『了解。全機、反転離脱。目標『神殺し』、行きます!』

 高機動部隊とは、変形機能を持った最新機体の事。通常飛行の倍の速度を誇り、操行が薄い代わりにパイロットは厳選される。その結果『神殺し』に向かっていったのは合計で二小隊にも満たない。
 戦場から遠く離れていく光を見つめる事なく、プライベート回線を開いた。誰かに聞かれる事のないよう、目の前に集中できるように。