何度も聞いた声だったな、と。そう思った。
 迫る明るさ。それが、不意に消えた。身体に走る衝撃に、その場からどかされたんだと初めて気づく。

「…………え?」

 そんな事、一体誰にされたというのか。まったくわからない思考の先で、視界は確かに捕らえていた。
 閃光を間近に、見知った人の機体がいた。

「「ヴァイフェさん!!」」

『……貸しな。来世で、返せよ』

 とても、らしい言葉だと誰かは思う。それは亮太じゃない。詩絵瑠でもない。ランサーを思わせるその背中と微笑みは、たった一秒に満たない。
 明るさの中で。瞬きするほど痛い光の先で。ヴァイフェ・ルーディアは蒸発した。

「「――――――――」」

『全体進め!! 彼らの犠牲を無駄にするな、仇を討て!』

「隊長!!」

「止まっちゃあ、駄目だよ。亮太君」

「藤咲!?」

「借りが出来たんでしょ。返してあげなくちゃ。そのために、生きないと」

「だからって、そんな、こんな事が……っ」

「理屈じゃない。理不尽すぎる。わかるから、その気持ち。わかるから、だから……行こう?」

「っ、っ、もう、二度と戦わない。こんな、こんな戦争、終わらせる!」