『全機突撃体勢! 敵動力部へ侵入を図ります。本艦は敵侵入口にて待機、突撃部隊を死守します』

「臆するな、どうせいつかは死ぬ! 気高き勇者としての自覚を持ち、この戦いに勝利する! 続け!」

 何十という味方を引き連れて、何撃という艦隊の援護を受けて突撃が始まる。最後は近い、気は抜けない。そう、言っている傍から。
 警報が鳴る。ブリッジに響き渡る警戒音は、敵の攻撃を知らせる。何事かと艦長が、心底驚いて声を荒げた。この状況での攻撃、それも死角範囲から。そうなると、とてつもない嫌な予感に実が震える。

「解析結果。敵砲撃、着ます! 目標、突撃部隊! 発生源は、『神殺し』!?」

「っく、やはり。まだ沈んではいませんでしたか! 伝令、緊急回避してください!」

「無理です、間に合いません!」

 戦艦さえも沈めた巨大な、惑星の主砲には劣るそれは充分すぎる殺傷力がある。その速度、威力共に劣化しているとはいえ。
 隊長、と誰かが悲鳴に似た声を上げる。予想外の角度からの砲撃、緊急通信で回避しろとの声。理解は遅い、感覚で動かなければ間に合わない。ただの人間たちに、己の身体ではなく偽りの肢体を動かす者たちに、それだけの芸当は無理難題。
 何人、何体も飲まれて消えていく。気づけば遅いというのに、まったく気づかないものさえいた。それを、なんておかしいのだろうと、亮太は思った。

『――亮太!!!』