これは一体どういう事か。理解は出来る、証明も出来る。遥か彼方で、黒く焦がれながら内側から崩壊していく神々の黄昏が、すべての理解と証明。
 だが、納得は出来ない。どうしてそのような事をするのかと。
 不愉快からではなく、純粋な疑問。
 あれだけの話を聞いた。すべての根源が彼女であると、誰もが知っている。ならば何故、彼らは二人を助け出したのか。それが納得できない。

『どうして……? わたしのせいで、こんな事になったのに……』
『何を言ってるんだ、まだまだ小さい女の子のくせして』

 その声は、彼らの部隊の隊長のものだった。

『発端なんてどうでもいいだろう、大事なものは今だ。仲間を助けて何が悪い』
『この戦場に辿り着くまで、一体何度危ないところを助けられたかわかりませんしね』
『おうとも。仲間を裏切るような奴は、男じゃねえ。女を泣かす奴は風上にも置けねえな』
 彼の部下たち、共に戦場を駆け抜けた者たちさえも同意する。

『貴方たちを支持します。この戦争に勝ち抜くため、私情を交えるのなら……貴方たちには生きてほしいから』

 地獄犬から束ねる女性さえ、あの瞬間より最高権力者となった人が認めてくれている。
 数多の人間たちは、その剣を銃を掲げて高らかに叫んでいた。勇気ある雄叫び、共に戦おうと認める声、二人を全面肯定してくれる鼓舞、この戦争を終わらせようと言う決意表明。
 あと二人。彼らの友人は、声を上げない。確かに視線を感じる、温かに見守る視線が。
 今は声をかけない、だけど決して否定はしない。自分は友達だから、ちゃんと最後まで付き合ってあげる。
 今は声を上げない、だけど決して否定はしない。友達でいたから、ちゃんと最後まで見届けてあげる。