黒竜王の頭上、二色の天使は剣を構えて突撃をかけていた。
 迫り来る敵は打ち落とし切り払い、黒竜の破壊力に殲滅は必死。カーニバルは続いていく、これより先、混沌としたさらなる祭り。
 神殺しと名づけられた砲台がある。遥か彼方から、荒ぶる神の如く振り舞う二体を狙っている。
 精密正確な、戦艦さえも沈めて見せる一撃。
 実弾兵装に切り替え、それでもなお同等の威力を叩き出せる。
 その魔弾が、天使の頭を捕らえた。
 淡い散光の後、誰もが反応できない速度でそれは放たれるはずだった。

『……何、を?』

 そう言わずにはいられなかった。とても、それを信じるなんて気は起きなかった。とても、夢みたいな光景に。
 気づいたのは、ほんの一瞬だけ遅れた。砲台に狙われていると、二人が気づいた瞬間には回避も防御も間に合わない致命的な時間。ならば、こうして両足で立っていられるのはどういう事か。
 後方から、銃を構えている数人がいた。
 砲塔を向けている戦艦がいくつもあった。
 そのすべてが、主力砲台神殺しに向けられている。