「きっと。彼女と生きていく事が、俺の生きる意味だから」

 剣が交叉した。二つの肢体が交わって、新たな色が誕生した。
 黒でもなく、金でもなく、それは本当の白。
 訪れるは静寂、一瞬よりも短く永遠よりも長い。突き破る事の出来ない瞬間は、誰にも音として伝わらない会話を広げる、二人だけの時間。
 わたしと生きていく、その言葉は本当に嬉しかったです。こんなわたしを必要としてくれる人がいる事が、何より、心から。
 そんなに自分を卑下するな。何があったかは知らない、過去に重い事が遭ったのは誰でも一緒。大きさや辛さは関係ない、傷ついたという事実の前には。だから、俺は構わない。昔がどうであろうと、一緒にいたいと思えた存在は君だから。
 大罪を犯しました。死んで償えと言われて、きっと断る事の出来ないほどの。それでも、わたしは生きてもいいのでしょうか。
 それは許せない。死んで償うなんて、絶対に許せない。それほどまでに無責任で、君に似合わない逃げ方は許せない。君は、逃げなかっただろう。死を押し付けようとする奴から逃げて、生きようとして俺と出会ったんじゃないのか。死にたくないというのは、生き汚いんじゃない。とても正しい事で、大切な事だと思う。間違いなんかじゃない。レナ、君は生きてもいいんだ。
 生きてもいい、その言葉を反芻する。
 夏場の風鈴を思わせるほど、その言葉はよく響いた。
 音色は綺麗で、何処までも何処までも広がっていく。