宇宙空間では、先にACEが戦っていた。
 雑兵を片付けながら、決して前には出ずに防衛に徹している。
 これは上層部の意思であり、己の主の命でもあった。これより先、敵陣へと独断で飛び込む彼のため。

『何故、こんな事をしなければならないのか……まったく以って』

 彼はEXCASらしくなかった。もとい、人工物らしくなかった。
 これから起こる事を考え、重い溜息を吐く動作を行った。意図したものではなく、無自覚無意識による。
 それでも、そんな主に好意を持っていた。
 製作されてからの付き合い、それほど長くはない。一年にも満たない付き合いだが、それでも十分好意は持てた。互いの背中を預けられるほどの間柄になった。
 だからこそ彼を信じ、ACEは己の役割を全うする。