この場に不釣合いなほど、指先が優しく頬を撫でた。
 慈しみ、心配し、支えようとする少女の瞳が先にある。

「ありがとう」

 彼は礼を言った。
 今は、それだけでよかった。
 彼にとっても彼女にとっても、今はそれだけで。

 カウントは四十二から増えていない。
 カウントは、残すところ三秒だった。

 クライマックスが、始まる。

 紅く、翠の、蒼く、白い軌跡が黒い空間を鮮やかに彩っていく。
 残りの時間は、これでTwo……Own……。
 闇夜を引き裂く雷のように、再び防壁を貫いて惑星に損害を与えた。

 これで、カウントはZero!

 彗星と見間違うほど至近距離で、蒼い流星が流れていった。

 一つの惑星を目指して、三十六色の色鉛筆より多く。
 破れた瞬間に防御力はガタガタに落ちていたのだろう、無効化する事はかなわずいとも容易く突き破られた。