シャボン玉を思わせた。
 虹色の膜が、うっすらと張られている。

 それが、翠を水に溶かしたように分散させた。

 まさか、と誰かが口にした。もう一度照射を告げる上官が、その言動者に問いだした。
 彼が言う答えは、先の光景よりも実に現実離れしていた。

 いつの頃か、あるモノを巡って戦争が勃発した。熾烈を極めた戦いに、ビーム兵器が登場した。それは実弾しか知らなかった頃には、恐ろしい脅威だった。
 だが、コストが高い上に調整が難しく量産までには段階が上がらなかった。
 しかし、どれ程の被害を出しただろうか。使った場所がより強い印象を与えた。ある工場区の動力を貫き、いくつもの星を壊滅状態に陥らせた。
 戦に身を投じながら、その対策は随時練られていた。
 その時登場したのが、ビームを拡散させ無害に還る材質を含んだ装甲板。
 魔術兵装と、現代ならそう言われる。
 魔力を入れるのではなく、電力を魔力に組み換えるプログラムと装置があるらしい。とても信じられたものではないが、現にこうしてここにある。
 当時も存在したが、登場した数は数えるほどしかない。何故ならそれは繊細な塊。実弾兵器にはほとほと弱い。こちらも量産が効かず、ビームを無力化してもマシンガンやバルカンに突き破られてしまうのだ。おかげで被害は減らせたとは言えず、いつしか闇に消えていった。

 冗談のような話だった。だが、これを信じずして目前で起きた現実はなんなのか。
 古の知識が蘇った。そう認めざるをえなかった。