――、――――。
 ――……、――。

 何者かの声を聞き、目を醒ました。
 思わず欠伸が漏れ、少しだけ後悔した。

『眠そうだな、二等兵?』

 寝覚めには最悪の声だった。毛嫌いする上官、ダイクン中佐によるものだった。
 作戦会議をしていたよう。この最終作戦の先発隊、これからの大まかな経緯について。

「いえ、速く敵の脳天に銃口を突き付けたく、夢にまで見ていたところであります」

 笑いがおきた。馬鹿な事を言うなと、面白い事を言うと、失笑と共感による笑い。その答えに、どうやらクレスも怒りが収まった。

『突き付ける必要はない、躊躇なく引き金を引け。遠慮はいらん、全弾撃ち込んで来い。解散!』

 通信が切れると同時に幾人もの兵士が機体を起こした。
 先頭に立った各小隊長が飛んでいく。宇宙空間にフラッグを立て、大勢の部下を引き連れた戦いに赴く。
 一個中隊が先発隊として飛ぶ。
 フラッグの光はキラキラ星。
 何人もの味方が、頼りになる閃光の如くだと、それを見守った。

 どうしようもなく不安を拭えない、たった一人以外は。

 先発隊に下された作戦など、あってないようなものだった。
 物量に差がありすぎる事は歴然、機体の性能が桁違いな事も承知済み。ならば、パイロットの腕に賭けるしかない。