老人は目を醒ました。
 休めるための眠りは意味を成さず、憎しみのために覚醒を続ける脳が見せた幻覚だと信じ込んだ。


 少女は目を醒ました。
 長き時が過ぎた事も知らず、振り回される凶暴の前に逃げ出した。
 あの夢が現実になると信じて。


 彼は目を醒ましたか。
 暗い闇にいた事しか思い出せず、何が起きたか唯一理解できない。
 すべての根源でありながら、それはまだ何も知らない。





END