ここは夢の世界、夢が集まる世界。
 そこに巣食った以上、消える事は夢の消失。
 もう二度と、青年に眠りはやってこない。

 最後の恋心、そのために輪廻の輪から外れてしまった。

 永久の黄昏、その存在を無視していた。
 最後のない世界で、薄れ逝く影がいる事を。

 ――お前は、誰だ。

 影はそう呟いた。見た事がある、見知った青年に。
 ならばどうして問うのか。すべてを理解していながら、すべてを分かってやれない。影だからか、実体が在るそれを否定したいのか。是が非でも、この結末を迎えてしまった未来人だから。

 では聞こう。お前は、望まぬのか。
 焦がれて喉を掻き毟った、この吾だった気持ちを。
 終わりを望まず、反則の続きを望んだ気持ちを。

 では返そう。お前はそれでよかったのか。
 一度しか会えない。転生であれば、俺ではない俺が幸せになったかもしれないのに。

 影が消えていく。
 足がなく、腕がなく、考えるだけの頭があった。言い返すだけの口があった。
 しかし、何が言えようか。その影は、何一つ理解できない。

 理解に苦しむ。どうしてそこまで、会いたかった。
 終わりは幸せ(ハッピーエンド)ではなかったのに。

 いつか、わかる時が来る。
 違う答えが出せたなら、いつか対面できる日が来る。

 では、さようなら■■■■■■■■。
 この世界から、君たちの幸せを願っていよう。