黄昏の海が一つ。
 それは主だけの世界。
 招かれた客人たちは各々の世界に帰った。

 十二時に解ける魔法の時間は、なんていう事はない。時間軸から外れた世界に、そんな概念はないから。これは眠っている間の夢。夢の意識を連れ出す魔法。
 現れた姿で長くいても、所詮ここは夢の概念世界。歪曲した世界。
 醒めれば一瞬、ここでの時間は永遠無限。
 老人なら老人のまま、
 青年なら青年のまま、
 少女なら少女のまま、
 何億年といても年老いる事はない。
 夢を見ている間だけ。
 醒める時間も違えば、夢で感じる時間も違う。

 拒絶はあった、しかし老人は既に起きる時間だったのだ。
 少女もその時を迎えた、故にここに青年は独り。

 本当に、馬鹿だな。こんな世界に身を投じて。
 あの娘に会うため、未練がましく無限に過ごすのか。

 目的は達した。
 だが、消える事は許されない。