さて、貴方には何処まで話したものか。
 この長く持たない、灯篭流しの世界で。

 ……おにいさんは、こわい事をしないの?

 そういう世界の流れで、生きてきたのだな。
 正確には、眠りに就いたのか。痛ましい。
 吾の知る、貴方とは違う。

 なかよくしてくれたの?
 これからであえる、あなたは。

 逆だね。君の方が、吾に好くしてくれた。
 だからこそ、あのような者を呼んでまでも、君に出会いたかった。古の姫君。

 それならいい。いつか、わたしとなかよくしてくれるのなら。

 では、時が来る事を心待ちにしよう。
 吾も、俺も、君も。
 その時を望むから。

 老人と同じく少女が消える。拒絶ではなく名残惜しいと、この世界がそう泣いている。
 浮かべられた満ち足りた微笑みが、陽炎のように儚く融けた。
 痛々しい服装ははやく消えてほしいと望み、至高の笑みだけが留まってほしいと望む。