関係ない子供を連れている。
 脱出劇が上手くいこうが、失敗に転びかければ止まるしかない。少女の身を案じるなら、降伏という逃げ道しかないのだ。
 しかし、兵士の予想を斜め上に行く行動を取っていた。
 車は加速していく。屋根があるため肉眼及びセンサーでは確認できないが、その速度を生身で浴びていたら苦痛と感じるだろう。
 つまり、万が一飛び降りて逃げようと考えているのなら大怪我をする事は間違いない。
 だが杞憂、飛び降りるどころか脱出する気配すらない。
 それが、一番の問題だというのだ。
 車は加速していく。止まる事を知らず、止める事を知らず、
「何とかしろよ……っ!!」
 例え一秒後に、壁に激突する事になろうとも。