泣きたくなるような醜悪に目を背けない。
 自分と言う存在に愛想を尽かし諦めれば、まだ二人の人間が悲しむ事になるのだから。

 一人は、藤咲詩絵瑠。

 生きる糧として、憎しみの対象として、好い意味でのこれからの柱として。

 一人は、レナと言う。

 友愛感情以上に、誰かを求める純粋な、好い意味でのこれからの柱として。

 どちらも必要としているから、好いも悪いもない。
 好きと言う優しい感情、
 嫌いと言う悲しい感情、
 他人に変えてもらったショウだからこそ他人の機微がよくわかる。
 必要とされるならば、例え自らが傷ついても構わない。
 無意識であった過去、それが現在では意識していられる。そんな自分を憎めない、これからの事を享受し生きる。
 腕の中で抱き締めた、あどけない寝顔の少女を眺め、不退転の気持ちが高まっていく。