「もちろんです。わたしは……この戦いからは、逃げられません」
「リンのお母さん、お話はとてもありがたいです。でも、もう決めた事ですから」

 ショウは立ち上がった。
 迷いのない口調で、これ以上ないほど爽やかな笑みを浮かべ。

「出来る事をしたい。戦って大切な誰かが守れるなら、その道を選んで生きたい」

 老い先短い、それが自分の願い。とは繋げない。
 後ろ向きな決意が脳裏を過ぎらなかった、と言えば嘘になる。
 口にしなかっただけ。
 彼は、独りではない事を知ったから。

「おにいちゃん、もう行っちゃうの?」

 いつの間にかリンがリビングに戻ってきていた。
 寂しそうな上目遣いの彼女に、母親が優しく諭す。

「……そうだよ。でも、ちゃんと帰ってきてくれるって」
「本当? おにいちゃん、戦争がおわったらまた遊びに来てくれる?」
「……ああ、もちろんだとも」