何度思った事があっただろう。
 いつしか、もしもと言う言葉は信じなくなった。
 救いはあるかもしれないけれど、決して起きないからIFなのだ。取り返しがつかないからIFなのだ。
 希望は見ればつらいだけ、つらい思いをしないためその言葉を嫌いになっていく。
 今も変わらない、昔ほど悲観的ではないにしろ。

「俺はIFを信じない。なるようにしかなりません。だから、自分がやりたい事をします」
「……これから戦いに行く、と言う事?」
「ある人を怒らせた、それでも生きてほしいから。いつか、好きになれる人がいる。だから、死ぬつもりはありません」
「――とても、固い決意だね。レナさん……貴方も、同じ気持ちなの?」

 矛先がレナに向く。
 だが、答えは初めからある。何より、彼女にIFは存在しない。
 笑顔で、躊躇いなく頷いた。