「無理はしていません。恨み言を吐きながら戦いに行く気持ちじゃありませんから」
「心配してくれて、本当に嬉しいです。けど、やっぱり行かないと。この思いは、きっと変えられない」
「死ぬかもしれないわ。人生のもしもはないけど、今がその、もしの時かも知れないの」
「俺は、IFなんて信じません」

 静かに、そう言った。
 悲しさじゃない、諦めでもない。
 心から純粋に、そう言った。

 いつ消えるかもしれない命。
 もし、と思った事は一度じゃないだろう。

 もしこんな病気にじゃなければ、
 もしここで倒れていなければ、
 もし心配もせず元気に遊べたなら、
 もし、こんな事にならなければ、お母さんたちは死ななかった。